授業
地域・在宅看護論第7回
梶井 文子(東京慈恵会医科大学 教授)
小地域福祉活動とまちづくり
2000年以降、社会福祉の分野では介護保険制度、障害者総合福祉法等の新たな法律や制度が導入され、福祉サービスも民間の多様な実施主体が担うようになり、「地域福祉の主流化」と呼ばれる時代を迎えました。ライフスタイル、家族形態の多様化や地域社会の変容に伴い、福祉課題の複合化、複雑化が進むなか、2000年の社会福祉法成立、2017年の社会福祉法改正とそれに伴う諸政策は、制度の縦割りを超えた共生社会の構築を目指しています。生活課題の解決に、地域社会を構成する団体や人々の関わりが一層求められるようになってきました。同時に東日本大震災を含む大きな自然災害からの復旧や復興の過程では、社会福祉協議会やNPOなど、数多くの地域福祉関係団体の活躍がみられます。さらに2020年春からの新型コロナウィルス感染症のパンデミックは私たちの日常生活に大きな影響を与えました。このような社会情勢を踏まえ、本講義では「地域福祉」の考え方、様々な生活課題の解決における地域福祉の役割、その現状と課題、そしてその可能性を議論します。