授業
新興アジアの政治と経済第13回
高木 佑輔(政策研究大学院大学准教授)
多様な社会経済問題などで困窮する人たちに対して、伝統的には政府がセーフティ・ネットを提供してきた。しかしその縮小が続くなか、最近では代わって民間非営利セクターが、サービス提供を行うようになり、注目が集まっている。例えば、これに関連した法制度では、98年のNPO法の成立、08年から実施の公益法人制度改革、そして数次に渡って改善された税制優遇などが挙げられる。しかし福祉を中心にサービスを提供するNPOの公的資金への依存が進み、行政の下請け化あるいは市民社会組織としての自律性の喪失といった問題が指摘されている。また新たに、ソーシャルビジネスと呼ばれる新たな解決手法も生まれてきている。こうした民間非営利の諸組織の実態とその重要性を理解し、国内外のそのあり方や動向について、基本的な知識を深める。