授業
原典で読む日本の思想第13回
頼住 光子(駒澤大学教授)
浄瑠璃と歌舞伎ー近世の芸能(江戸中・後期)
文学・芸術・武道を中心として、原始から現代まで続く日本文化の独自性と今日的な意味を考えてみたい。日本列島の自然の中で縄文時代から狩猟・漁撈・採集生活が長く続く内に、自然に神的なものを見て崇拝し、祖霊を尊重する精神が培われ、それは稲作文化が伝わって国家が形成されても底流に流れている。古代に大陸から漢字、仏教、律令制度などを取り入れるが日本的に変容させ、日本古来の神話や歌の古典も成立した。平安期に漢字の崩し字を基にして仮名が作られ、仮名を使った王朝文学が開花した。中世には貴族と武士の文化が融合する中で、能楽や茶の湯などが展開した。近世には武芸の道や庶民が楽しむ俳諧、浄瑠璃、歌舞伎、浮世絵なども生まれた。明治維新、戦後と、伝統文化は2度否定されたが、再編成されて今日に至る。縄文にまで遡って日本文化を見直して、近代文明を超える新たな可能性を探ってみたい。