授業
数学の歴史第3回
三浦 伸夫(神戸大学名誉教授)
ベクトルと図形
初めに高等学校で学んだ平面や空間におけるベクトルの扱いを復習する。また、内積、外積を定義し、ベクトル空間に内積を取り入れることで、長さや角度が表せることをみる。こうして得られる計量ベクトル空間において、正規直交基底が構成できる。また、空間において形を変えない変換すなわち合同変換を例をあげながら解説し、その行列表示として直交行列を学ぶ。次に、ベクトルや行列の成分を複素数とすることで、複素ベクトル空間を考える。空間における基底の変換は本講義で重要な手法で復習を兼ねて講義する。その後、対称行列に基底の変換を施し対角化できることをみる。一般に、行列が対角化できるための条件や特徴付けを考える。与えられた行列はいつも対角化できるわけではないが、三角化と呼ばれる形、またジョルダンの標準形と呼ばれる形に変形する方法を学ぶ。次に、2次曲面を行列を用いて表すことを学ぶ。そしてこれまでの知識を応用して、2次曲面を標準形とよばれる形に変形し分類する。