授業
現代教育入門第8回
岩崎 久美子(放送大学教授)
高等教育ー大衆化と機能変化ー
人は生まれながらにして人間であるわけではない。家族という基礎的な小集団の中に生まれ、親密な人間関係を通じて自我の基礎を形成し、やがて一般化された人間関係が縦横に展開する社会集団との接触を通してその社会の文化と規範を内面化して身に付けることにより、一個の自律的な人間となるのである。その意味で人間はすぐれて社会的な存在であるといえる。本講義は、人々が生まれ、育ち、学び、働き、家庭を作り、さらに自らの子どもたちを育て、自己を実現していくというプロセスを縦糸とし、人々がそのプロセスの各段階で関わっていくさまざまな教育の在りようを横糸として、社会的な営みとしての教育の意味と本質を理解していくことを目的としている。あわせて最近の教育状況とそれを巡る環境の変化および今後の課題や展望についても検討する。